彫刻作品

學校 ④

今回の「學校」は方位も考えて展示しました。原爆ドーム実物の正面は元安川に面して西向き(ちょっと暗示的ですね)なので、この作品でもそうしました。↑は東面、↓が西面です。四方に構造材を兼ねた本棚を設置する必要があったので、どうせなら四神相応を意…

學校 ③

ニヒリスティックに言えば、人がつくったものの中で一番美しいのは、遺跡だと私は思います。「日本のマチュピチュ」と呼ばれる(のはちょっと気の毒ですが)竹田城跡など見応え充分です。平地からボコっと盛り上がった山の稜線に、温かい砂色の巨石が寝そべ…

學校 ②

2024年 430cm×450cm×450cm mixed media 私の造形制作における基本原則がいくつかあります。取り敢えず思いつくままに挙げると…。 ①一人でつくるということ。私自身がとてもせっかちで衝動的なので、人との協働に向いていません。それに、美術制作=優雅…

學校 ①

2024年 430cm×450cm×450cm 麻布、樹脂、漆、木、鉄、発泡スチロール、本、机、椅子、他 3月に入りました。そろそろ写真を出しましょう。現在TARO美術館で展示中のこの作品「學校」について、パンフレットに載せた私のキャプションは以下の通りです。 196…

ムンク

2022年 高185cm 麻布、樹脂、漆、木、他 今年のTARO賞展に出品したまま、まだ紹介していなかった立像が一つありました。言わずと知れたムンクの肖像です。でも「叫び」は知っていてもムンク本人のことは知らない人がほとんどだった様で、「へーっ。ムン…

駆け去りし者(J.ポロック)

1996年(漆塗り直し2022年) 高105cm×幅72cm×奥行50cm 麻布、樹脂、漆 引き取りに行った美術館で久しぶりに対面すると、セナもポロックも巨大で驚きました。等身より一回り大きくつくったとは記憶していましたが、二回り位、全身にすれば軽く2m半を…

駆け去りし者(A.セナ)

1996年(漆塗り直し2022年)高107cm×幅107cm×奥行42cm 麻布、樹脂、漆 もう四半世紀も前に笠間日動美術館の所蔵となった二作品を修繕のため、一旦引き取ってきました。私の初期の作品は着色を油彩で行っていたので、年月の経過とともに空気中の水分…

仏頭

2022年 高93cm 麻布、樹脂、漆、他 奈良の興福寺国宝館にある仏頭を原寸に近い大きさでつくってみました。壁に掛けられる様に頭の後側はカットしてあります。TARO賞展では、美術館の天井の高さを利用して、この頭部が元々あったであろう位置に展示してみ…

ポロック

2022年(漆塗り直し) 高36cm 麻布、樹脂、漆 20何年か前につくった小像です。当時、友人の自宅の新築祝いに持って行き、代わりに米沢牛のすき焼きをたらふくご馳走になって来ました。ここ数年はコロナ禍もあり、しばらく上京を控えていた山形のターミネ…

N嬢

2022年 高さ160cm 麻布、樹脂、漆、木、他 今回、TARO賞展に展示した作品の内、最後にぎりぎり間に合わせたのがこの立像です。昨夏につくり始め、漆が乾くかどうか微妙でしたが、何とか出展に漕ぎつけました。初めから搬入日を見据えて、遅滞なく作業を…

ピカソ・TARO賞展終了

2022年 高・幅480cm、奥行150cm ミクストメディア 日曜日でTARO賞展が終わりました。全て搬出する前に、必ずや撮っておこうと思ったのがこの写真です。他の作品を片付けたブースに「ピカソ」だけを残して撮影しました。作者としては予想外でしたが、会期…

ピカソ

2022年 高・幅480cm、奥行150cm 麻布、樹脂、アクリル塗料、綿布、他 明日でTARO賞展が終わったら、この作品だけは二度と展示できない可能性もあるので、ここで紹介しておきます。高さ5mの壁から吊ったピカソの顔は2m以上あります。床に展示してある等身…

異形の森

2022年 5m×5m×5m 麻布、樹脂、漆、木、他 今回のTARO賞展パンフ用に書いたコメントです。ジャコメッティの彫刻に「森」という作品があります。逆光に浮かぶ影法師にも見える、大小様々な人物と、ひとつの大きな頭部が、歪な盤の上に並んでいます。人の姿…

龍燈鬼・天燈鬼

2021年 龍燈鬼・高141cm、天燈鬼・高112cm 麻布、樹脂、漆、木、紙、電球、電線、他 今、開催中のTARO賞展で、私のブースに結界を張って踏ん張っているのがこの二像です。言わずと知れた、興福寺国宝館の天燈鬼(右)・龍燈鬼(左)像です。実際に照明器…

自刻像

2021年 高175cm 麻布、樹脂、漆、木、他 現在、開催中のTARO賞展に出している等身大の自刻像です。本当は足元にある迦楼羅の仮面を頭に被っているのですが、私の在館中は外しておくことにしました。まだ開幕してから1週間なのに、この像と私の隣で記念撮…

PW〈ミノタウロス〉

2021年 167cm×65cm×65cm 麻布、樹脂、漆、木、他 第9回あさごアートコンペティション2021展のパンフレット用に書いた作品紹介文をそのまま載せます。PWとはPrisoners of War、大岡昇平が描いた戦争俘虜のことです。戦後76年が過ぎましたが、私たち日本人…

マタイ(伯剌西爾)Ⅱ

2021年 高33cm×幅78cm×奥行78cm 麻布、樹脂、漆 概ね各70cm以内と寸法制限がある彫刻展に等身像を出せることに気づいたのが、このシリーズの始まりでした。前作では床の上にコンパクトに座ったモデルでしたが、70cm×70cmに仕切られたラインを見て、これ…

伐折羅(バサラ)

2020年 高42cm幅27cm 麻布、樹脂、漆 前回紹介した通り、この頭像は三鷹の「婆娑羅」という酒場の店内に飾るためにつくりました。新薬師寺の十二神将像の内、この像は迷企羅(メキラ)と表示されたりもしますが、入江泰吉はその作品写真のタイトルで伐折…

絵を描く時間がないのですが、作品は色々つくっています。等身大の彫刻の足などもいくつか仕上げているところです。靴など取るに足らないと思いつつ、つくってみると、結構これはこれでやり甲斐のある立体造形です。

TARO

2019年 162cmx65cmx65cm 麻布、樹脂、漆、木、他 先週末まで、神奈川県民ホールギャラリーに、ピカソと一緒に立っていた岡本太郎像です。同じ身長でも、アジア人とヨーロッパ人では、体型が違います。それぞれの特徴を出したつもりでしたが、久しぶりに…

PICASSO

2019年 162cmx65cmx60cm 麻布、樹脂、漆、木、他 もういくつめになるのか、今回は等身大でピカソをつくり、ほぼ同じ身長の岡本太郎と並べてみました。彫刻を立たせることについては、色々な人からどうやって固定しているんですか?と訊かれますが、何の…

マタイ(伯剌西爾)

2019年 高60cmx幅60cmx奥行70cm 麻布、樹脂、漆、木、他 バブルの頃、色々な企業が挙って美術コンクールを立ち上げましたが、景気と共に潮が引くように、撤退していきました。特に東京の状況はお粗末としか言いようがありません。首都とはあくまでも経済…

重源上人坐像模刻

2019年 高82cmx幅76cmx奥行60cm 麻布、樹脂、漆、木、他 昨秋亡くなった父の遺影は、最後の誕生日に病院で撮ったものでした。まさか、それからひと月もたたないうちに逝ってしまうとは思えない程、血色の良い、穏やかな表情で写っています。もうこの世に…

My Favorite「国語」

2018年 高170cmx幅160cmx奥行60cm 麻布、樹脂、漆、木、紙、他 平成30年9月16日(日)まで、神奈川県展に出展されていた作品です。本当は今秋開催の「第7回あさごアート・コンペティション」に出展するつもりだったのですが、あさごの搬入、搬出日共どうし…

PW〜生きている俘虜 ②

2018年 175cmx400cmx400cm 麻布、樹脂、漆、木、鉄、その他 TARO賞展の規約では過去に発表した作品でも、賞さえ取っていなければ、出せることになっています。そこで昨年 京都に出品した同タイトルの作品を膨らませてみることにしました。元々、この作品…

PW〜生きている俘虜 ①

2018年 175cmx400cmx400cm 麻布、樹脂、漆、木、鉄、その他 第21回岡本太郎現代芸術賞展(川崎市岡本太郎美術館 2/16〜4/15)で展示中 俘虜も毎日を生きねばならぬ。しかしこういう状態で生きることを、真に生きるといえるであろうか。(大岡昇平著、「…

舞踏面

2018年 和紙、糊、漆、麻 ダンスをやっている教え子から、公演で使う天狗の面を作って欲しいと、依頼がありました。激しい動きを妨げない様、軽く丈夫で、顔の下半分にフィットし、かつ着脱しやすいものという注文でした。海外公演も考えている為、和の…

不死身の人

2017年 像高68cm 麻布、樹脂、漆 前の職場のボスで、先輩教員として、男として、そして友人としても信頼できる数少ない人間のひとりです。学校現場がいつも平穏なら良いのですが、時に大きな波に飲み込まれて、揉みくちゃの状況に置かれることもあります。そ…

PW〜生きている俘虜〜②

「PW〜」というのが、一応今作のコンセプトです。が、「コンセプト」なんて、言ってみれば作品のパッケージみたいなもので、美術作品の本質からすると、どうでもいいことの一つです。「今度出店する居酒屋は俘虜収容所ってコンセプトでいこう。」という様な…

PW〜生きている俘虜〜

2017年 高170cmx幅170cmx奥行145cm 麻布、樹脂、漆、木、鉄、他 2017年3月7日〜23日 京展(京都市美術館)に出品 俘虜は一般に捕らえられた兵士であり、ただ祖国へ帰る日を待って暮していると考えられている。しかし私の見たところによれば、俘虜は「兵士…