口上

TARO賞展

第27回岡本太郎現代芸術賞展が本日から始まりました。私の出品は21,23,25回展に続いて四度目になります。奇しくも奇数回ばかりですが、流石にこれだけ広い展示スペースを、毎年毎年納得する形で埋め尽くすのは不可能です。今回の私の作品アイデアは、25回展…

作品搬入・設置

第27回TARO賞展の搬入・展示作業が始まりました。美術館に運び込んだ時はご覧の様なカオス状態です。ここから2日間、制限時間内で設営を全て終えなければなりません。 当たり前のことですが、作品というのは、ただつくるだけでなく、展示場所まで運んで組み…

R6辰年

正月早々めでたいなんて言っていられない災害・事故から始まった2024年ですが、いかがお過ごしでしょうか。私は冬休み中 遠出もせず、必要な買物以外は家で大人しく本を読んだり、作品のアイデアを捻り出そうとしていました。大した収穫もなく、気がつくと居…

進路指導

受験(検)が始まり、3年生の生徒たちが一喜一憂する時期になりました。私自身も、恐らく人生最後の受験生の担任ということで、期待と不安がデッドヒートを繰り広げる毎日を過ごしています。試験が終わり、結果が出るまでの時間というのは何とも落ち着かない…

ゾンビ・ピカソ

間もなく2022年が終わります。今年は前半TARO賞展、後半は笠間日動美術館の所蔵作品展示と、一年の約半分を大きな展覧会に参加して過ごせたので、個人的になかなか充実していました。特にTARO賞展はあれだけのスペースを3ヶ月間にわたって占有でき、しかも観…

笠間日動美術館

ほぼ20年ぶりに笠間日動美術館を訪ねました。初めて作品が収蔵されたばかりの頃は、時折顔を出していましたが、だんだん展示される機会が減るに従って、私の足も遠のいていました。今回は作品のメインテナンスについて相談するため、しばらくぶりの訪館にな…

ピカソ・TARO賞展終了

2022年 高・幅480cm、奥行150cm ミクストメディア 日曜日でTARO賞展が終わりました。全て搬出する前に、必ずや撮っておこうと思ったのがこの写真です。他の作品を片付けたブースに「ピカソ」だけを残して撮影しました。作者としては予想外でしたが、会期…

反・彫刻③

先日、東博で「空也上人と六波羅蜜寺」展を観てきました。ほとんどの像は以前にもどこかでお目にかかったものばかりでしたが、こうして一堂に会すると、それはそれで壮観でした。今回の目玉は運慶の四男 康勝の造った「空也上人像」です。久しぶりに対面して…

反・彫刻②

ロダン「接吻」2018年撮影 私はもちろんギリシャから始まった西洋彫刻史の重要性は認めていますし、何なら畏怖すら抱いています。ミケランジェロやロダンがやったことは誰にも真似できません。哲学と共に歩を進めてきた「彫刻」の歴史には論理的な説得力があ…

反・彫刻①

執念深い奴と思われると心外ですけど、また昔のエピソードについて書きます。別に愚痴ではありませんので悪しからず。 もう四半世紀以上前になりますが、銀座の大きな画廊のコンペで、私の立体作品が票を集めて、大賞候補になったそうです。ところが、審査員…

TARO賞展搬入・設営

先週金曜日から第25回岡本太郎現代芸術賞展の搬入、展示作業が始まりました。ご覧の様な高さ5mを超える白い壁が三面に聳り立つブースを、各出品者は好きな様に使えます。破格の空間容積で、また会期も長いので、出品者の気合の入り方も尋常じゃありません。…

2022年

我が家は喪中なので、お祝いの言葉は控えますが、何はともあれ、新しい年になりました。今年もよろしくお願いします。さて、雪不足とコロナで3年連続して年末スキーには行けず、でも、教え子のコンサートに出掛けたり、展覧会準備をしたり、読書したりと、…

鏡開き

緊急事態宣言下ではありますが、中学校は予定通り始業し、あっと言う間に1月半ばです。しばらく週末の飲み会も自粛なので、暇を持て余すかと思いきや、案外呆気なく松の内を過ぎました。地域によって異なる様ですが、もう昨日は鏡開きでした。とは言え、我家…

牛男

あけましておめでとうございます。今年は私も5度目の年男ということで、牛の面を被ってみました。背景は2020年TARO賞展での私のブースです。ミノタウロスの様に迷路に入り込むことなく、歳はとっても新しい挑戦をし続ける2021年にしたいと思います…

婆娑羅と伐折羅

三鷹の居酒屋「婆娑羅」のマスターから「ウチの店にも何か作品置いてよ。」と言われたので、これしかないだろうと、新薬師寺の伐折羅(伝迷企羅)大将の面をつくって届けました。週明けに店を覗いてみると、伐折羅は恭しく神棚に祀られていて、榊とお神酒ま…

TARO賞展2020 寄せられた感想など①

会期が終わり、いよいよ撤収という時、私の展示に関する手紙をまとめて美術館から受け取りました。多くは知り合い、教え子、その保護者や家族からのメッセージでしたが、中には初めて私の作品を観た人からの感想もありました。それぞれのaddress欄にメールや…

「村上一品洞」について③

新型コロナの影響で色々な施設が軒並み休業しています(甲子園も結局中止になってしまいました)が、TARO賞展は奇跡的に継続中です。これも生田緑地という広大な自然公園内にある立地の良さと、岡本太郎美術館の開放的な内部空間のお陰なのかもしれません。…

「村上一品洞」について②

国技館や甲子園を無観客にし、東京ではほとんどの公共施設を閉鎖している現状ですが、岡本太郎美術館は今日も元気に(細心の注意を払いながら)開館しています。大勢が一ヶ所に集まる様な関連イベントは中止しているものの(3月20日に予定されていた私のギャ…

「村上一品洞」について①

現在、第23回TARO賞展で「村上一品洞」が公開されています。本当は「村上」ではなく、丸の中に上の、村上の家紋(水軍の旗印)なのですが、活字では表記できません。「〜一品洞」は、言うまでもなく、このブログのタイトルであり、ネット上の私のギャラリー…

謹賀新年

「ネズミ」麻布、樹脂、アクリル絵具 2020明けましておめでとうございます。年末は雪不足でスキーにも行けず、飽食、深酒、運動不足と三拍子揃った、正しい冬休みを過ごしています。そして、また今夜も宴会です。 さて、ディスプレイに使いたいからと頼…

斑(まだら)の皮膚

初期の印象派展で「死斑のういた腐った肉の塊」と酷評された、ルノワールの絵があります。「陽光の中の裸婦」(1876)は、今でこそ世界各国の展覧会で引っ張りだこの作品ですが、まだ古典的なサロンが影響力を持っていた19世紀のパリでは、粗く雑な表現と看…

表現と再現③

絵画の模写に比べると、立体の模刻はその何倍も手間がかかります。ピアノソナタと交響曲くらい違うと言ってもいいかもしれません。一つの方向から見て「できた!」と思っても、別の角度から見ると「全然ダメ」なんてことが当たり前に起こります。カバーであ…

表現と再現②

「表現と再現」ということを、ポピュラーミュージックの世界で考えてみると、カバーはどうしてもオリジナルより一段低く見られる傾向があります。E.クラプトンの“I Shot the Sheriff”とかW.ヒューストンの“I Will Always Love You”の様に、成功した例もあり…

表現と再現①

昨年の11月に、ふと思い立って「重源上人坐像」を模刻してみることにしました。元の像は、東大寺の俊乗堂で年に数日だけ御開帳される、鎌倉時代の仏像です。南都焼討で灰燼に帰した東大寺を再建した老僧の姿を、恐ろしくリアルに木彫で表しています。 造り…

TARO賞展雑感

TARO賞展では、かなりじっくり作品を観てくれる人が多く、背中を押してもらいましたが、また別の反応もあって、それはそれで面白かったです。作品背後のソファに座って観察していると、会場に入って来るなり、私の作品を観て「気持ち悪い!」と呟く人が偶に…

芸術(art)とは何か

「芸術(art)とは何か?」という問いに、私なら「最高レヴェルのエンターテイメント(娯楽)」と答えます。芸術を何か神聖なものと捉える向きには叱られそうですが、それがどんなに高尚であったとしても、直接人の生死に関わらない嗜好品であることは確かで…

熊谷守一展

スキー前に滑り込みで何とか年内に行ってきました。平日の夕方だったので、近代美術館も人が少なく、私にしては珍しく、かなりじっくり観て回りました。 古い作品は経年の暗色化が進んでしまって、絵が判別できないものもありました。特に「轢死」という、飛…

塗り直し

色が褪せてきた様な気がするので、見て欲しいと、「天狗の腰かけ〜熊谷守一」http://d.hatena.ne.jp/murakami_tsutomu/20110416が持ち込まれてきました。初期の作品には漆でなく、油絵具で彩色していました。この像をつくった頃から少しずつ漆を使い始めたの…

2017年 元旦

明けましておめでとうございます。阿修羅をつくったついでに、年賀状用の迦楼羅と五部浄の被り物をこしらえてみました。迦楼羅の方はまあ鳥とわかりますが、五部浄は、猪かと思いきや、(鼻が折れていますが)象なのだそうです。今年は酉年ということで、私…

掌(阿修羅考)④

全体をシェイプアップしつつ、衣装や装飾品などもつけていきます。まだ顔の部分だけですが、漆を重ねる前に表面の布目を均すため、砥の粉を塗り始めました。