2013-01-01から1年間の記事一覧

2013年

年末恒例の安塚スキー・ツアーから無事戻ってきました。今年は参加者が多く、車2台にぎゅうぎゅう詰め+新幹線での合流でしたが、怪我もなく、特に最終日は天気も素晴らしくて、楽しい3日間でした。市川家にはいつもお世話になりっぱなしです。重正さんの…

長次郎「ムキ栗」写し茶碗

2008年 口径11.5cm(対角14.5cm)、高9.5cm 楽焼の創始者、長次郎は轆轤を使わずに指先だけで、利休好みの寡黙な黒茶碗や赤茶碗をたくさんこしらえました。無駄を削ぎ落とし、両手にちょうど馴染むように作られた茶碗は、一見自己主張とは無縁のようでい…

ジャコメッティ

2013年 像高69cmx22cmx40cm、台板48cmx60cmx3cm 麻布、樹脂、漆、木、塗料 今年の初めに造り始めたジャコメッティの全身像です。おおよその形は2週間ぐらいで出来ましたが、その後 微調整したり乾燥させたりで、漆を塗って仕上げたのは8月でした。小像…

井戸茶碗

この週末は根津美術館で「戦国武将が憧れたうつわ〜井戸茶碗」展を観てきました。井戸茶碗というのは16世紀に朝鮮で焼かれた碗型の陶器で、それを桃山時代の茶人や戦国武将が目と手で愛でる美術品として高く評価しました。韓国ではずっと雑器として扱われ…

本阿弥光悦 ① 

史上、国宝に指定されている日本製の茶碗は2つしかありません。ひとつは作者不詳の志野茶碗「卯花墻(うのはながき)」ですが、もうひとつが本阿弥光悦(ほんあみ こうえつ)作の「不二山(ふじさん)」という楽茶碗です。光悦は刀剣鑑定、研ぎを家業とする…

重源上人坐像

日本の肖像彫刻史上最高傑作と言われるこの像を、写真では勿論知っていましたし、是非観たいと思っていました。これまで東大寺は、修学旅行の引率や下見も含めると、少なくとも15回以上訪れているはずなのに、しかし残念ながら俊乗堂開扉時期に当たらず、…

これまでの口上・目次 ②

このブログでは「〜作品」や「お知らせ」以外に、常々私が思っていること等を「口上」というカテゴリーで公開しています。が、文字通り書き散らしていて、どこに何があるかわからない状態なので、ちょっとこの辺でまとめておこうと思います。前にも一度作っ…

セーター

1991年 23cmx16cm 紙、ペン、水彩 私と弟が高校生の時、イギリスに出張に出掛けた父が、土産に買ってきたフィッシャーマンズセーターです。この絵を描いた時点で、すでに10年以上経過していましたが、今もまだ現役ですから、もう35年間着続けている…

娘8歳

2009年 27cmx22.5cm 紙、鉛筆、水彩 4年前、テーブルの向かいで本を持っている娘を描きました。0歳の時の各パーツの特徴はそのままに小学生の顔になりました。でも不思議です。今、どこを探しても、この姿そのままの人間はいません。

娘0歳

2001年 27cmx22.5cm 紙、鉛筆、水彩 中学校の授業で自画像を描く時、人の眼球が頭頂から顎までの中心より下にあることを示すと皆驚きますが、更に赤ん坊となると、ほとんど顔全体が頭骨の下半分に収まってしまいます。不敵にこちらを見つめる娘のそれぞ…

壜、ジョッキ

1990年 27cmx22cm 紙、ペン、水彩 部屋にあった酒壜、空瓶、ジョッキを集めて、適当にペン描きしたものにざっと着彩しました。綺麗な青いビンはドイツ・フランケン地方(?)のワインボトルです。「ドイツでは、グリーンがモーゼル、茶色はラインと、地…

城ヶ崎

1990年 27cmx22cm 紙、水彩 23年前の夏は東伊豆の城ケ崎に何日か滞在し、大学院受験の準備などしながら太平洋を堪能しました。ほとんど人のいない岩場でこの絵を描き上げた後も、スケッチブックや絵具を置いたまま、一人で2時間ばかり素潜りしてから…

変わらないもの ④

アントニオ・ロペスという芸術家がいます。リアリズムにこだわり、15年以上費やして季節の同じ時刻の光だけで風景を描いたり、26年間かけて等身大の男女の彫刻を造ったりと、その仕事ぶりは徹底しています。作品は決して押しつけがましくなく、むしろ控…

武蔵野

2013年 33cmx42cm 紙、鉛筆、水彩 武蔵野市の北端から南を見て描きました。真夏の午前中ですが、陽射しをしのげる4階のベランダは風もあって快適です。中央の高いビルの先がJR三鷹駅です。右手前の木立に囲まれて、市営陸上競技場があります。武蔵野は…

カメラ

1990年 27cmx22cm 紙、ペン、水彩 写真と程遠い描き方をしたカメラの絵がありました。これは独身時代の財布に物を言わせて買った、当時最新鋭の一眼レフです。今でも充分動きますが、さすがにフィルムを使う機会はもうほとんどなくなってしまいました。

変わらないもの ③

形の崩れや歪みに対する許容範囲、デフォルメの感覚も変わらないもののひとつでしょう。写実とはものの形を正確に描写することにとどまらず、リアルと感じられる視点を提案することだと言えます。そのためなら、嘘も方便で、時には常識的なパースペクティブ…

玄関

2013年 41cmx33cm 紙、鉛筆、水彩 夏の午前中の光が差し込む玄関を描きました。余計な靴が乱雑に出ていると運気が下がるなんて言いますが、この家の住人は誰も気にしません。三人家族なのに狭い玄関は常にこんな感じです。年に数回、宴会の日だけは仕方…

ジャクソン・ポロック

2013年 像高63cmx22cmx68cm、アクリル板55cmx66cmx1cm 麻布、樹脂、漆、木、鉄、革、アクリル板、塗料 昨年、国立近代美術館で「生誕100年 ジャクソン・ポロック展」を観ました。ポロックは若い時から好きで、過去にも二度 胸像を造りましたが、今回…

籠盛りの野菜

1988年 27cmx22cm 紙、パステル この絵を描いた時、私は26歳でした。モティーフに困って、実家の台所にあったトマト、茄子、玉葱、ニンニクを籠に盛ってみました。右下に散らかっているのは鷹の爪です。珍しくパステルを使っていますが、画材に関わら…

変わらないもの ②

年齢によって肉体的、技術的なコンディションが変わったり、時代と共に使われる材料や道具が進化したとしても、私の絵に目立った違いは見られません。とすると「変わらないもの」は物理的な条件でなく、自分の感覚中にあると考えるべきでしょう。20年前か…

2013年 33cmx41cm 紙、水彩 作ると面白いのですが、使わない時にはかさばるので、壺というものはだいたい部屋の隅に寄せて置かれる運命です。決して描くために配置されたのではなく、最初からひっそりとそこにいた 彼らの気配のようなものが絵で伝わると…

五智国分寺

1991年 23cmx16cm 紙、ペン、水彩 平成3年の4月から2年間、現職教員の大学院派遣研修という制度で、新潟県上越市に住みました。五智(ごち)というのは、親鸞が配流され上陸した海岸近くの地名です。元々は塔を持つ立派な国分寺がここにあったそうで…

変わらないもの ①

今年の夏はマーラーの交響曲全集を買ってきて、そればかり聴いていました。この時期、蜩やツクツクボウシの声が聞こえてきたら、やはり五番の第4楽章でしょうか。映画『ヴェニスに死す』で使われた、有名なアダージェットです。これでもかというくらい抒情…

三月堂

2013年 25cmx34cm 紙、鉛筆、水彩 東大寺の法華堂(三月堂)は、天平時代創建の左側部分に、鎌倉時代の右半分が増築されたユニークな姿をしています。やはり首から上が天平、下が鎌倉で有名な秋篠寺の伎芸天像と同じく、時代を超えた職人たちによる傑作…

若草山から奈良眺望

2013年 14cmx18cm 紙、鉛筆、水彩 若草山の中腹にある旅館から、奈良市内を望んで描きました。左手前が東大寺大仏殿、中央右寄りに興福寺五重塔が見えます。猛暑から解放され、宿の部屋で小さなスケッチブックを開いた途端、緊急地震速報が鳴り響きまし…

東京

2013年 25cmx34cm 紙、鉛筆、水彩 買い物で待たされている間に、新宿高島屋12階のテラスから東を向いて描きました。手前の緑は新宿御苑、左の方には遠く霞んでスカイツリーが見えます。それにしても新宿御苑は樹種が多く、俯瞰するとまるでジャングル…

極楽寺

2013年 34cmx25cm 紙、鉛筆、水彩 昨日、松田正平の展覧会を観ようと思い、鎌倉に行ってきました。昼に江の島で生シラスと鯵の丼を食べ、せっかく遠出したついでなので極楽寺を訪ねました。紫陽花は終わり、百日紅にはちょっと早いタイミングでしたが、…

向日葵

2013年 34cmx25cm 紙、鉛筆、水彩 暇だったので、近所の花屋で買ってきた向日葵を描いてみました。本当はゴッホの「向日葵」ぐらい沢山欲しかったのですが、4本しかなかったので、仕方なくユリとカーネーションも加えました。それでも、やはり自作の壺…

「席巻する芸術」展

只今、神戸芸術センター(神戸市中央区熊内橋通7−1−13)3階グランドサロンで開催中の「席巻する芸術 日本芸術センターコレクション全60作品」展に私の「ピカソ」http://d.hatena.ne.jp/murakami_tsutomu/20110401が出品されています。会期は6月19日…

小像制作 ③(ジャコメッティ)

約半年、乾燥させて削った小像に漆を塗ります。立体の表面積というのは見た感じより大きく、高さ70cm足らずの像を一通り塗るのに4〜5時間はかかります。その間、全身に漆の飛沫を浴び続けることになります。最近ほとんどかぶれませんが、今はちょっと体調…