學校 ④

 今回の「學校」は方位も考えて展示しました。原爆ドーム実物の正面は元安川に面して西向き(ちょっと暗示的ですね)なので、この作品でもそうしました。↑は東面、↓が西面です。四方に構造材を兼ねた本棚を設置する必要があったので、どうせなら四神相応を意識して東西南北に合わせてみました。東は青い本棚と友人の青いシャツの背中、岡本太郎像の肩に乗った青龍で表しています。

 西は白の本棚です。日本の公立学校の教室では、机が必ず西向きに置かれています。日の差し込む南を左側にすることで、右利きの手の影が書く文字にかからない様に(つまり少数の左利きの生徒は無視されている訳ですが)配慮されています。なので、「學校」の西側に生徒机はなく、全て東半分にこちらを向いて並んでいます。

 南は朱雀です。女性像の少し上に赤い鳥の透かし彫りが飾ってあるのがわかるでしょうか。正倉院に遺された光明皇后の冠の残欠を朱漆と金箔で象ってみました。今回、会期中に桃の節句があったので、雛飾りの緋毛氈に見える様、南の本棚には赤い背表紙の本ばかり集めました。前に立っている二人が、ちょうどタイミング良く3/23に結婚披露宴をやったところなので、モデルになってもらい、内裏雛にしてみました。二人の後ろには左近の桜、右近の橘も隠れています。

 北は黒の本棚です。隣に黒いタートルネックの男がいるのは、玄武のシャレです。言われなきゃ誰も気づかないでしょうけど。