自刻像

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2021年 高175cm 麻布、樹脂、漆、木、他

 現在、開催中のTARO賞展に出している等身大の自刻像です。本当は足元にある迦楼羅の仮面を頭に被っているのですが、私の在館中は外しておくことにしました。まだ開幕してから1週間なのに、この像と私の隣で記念撮影した人が、少なくとも20人はいます。まあ、ほとんどは本人の意志というより、「ほら、一緒に撮ってもらいなさい!」と母親に強要された子供ですけど。ただ、中には物好きな大人もいました。

 この作品は一旦半身像としてつくったものに、下半分を付け足して自立させました。言ってみれば焼き直しです。今回、床面に立っている9体の内、実は4体がこのパターンです。とは言え、人の下半身から体幹にかけての造形は思ったより面倒で、バランスを考えながら等身像にするのは、ゼロから始めるのとまた違った苦労がありました。何はともあれ、半身像をこうして全身像に仕立て直せるのも、私の技法ならではでのインチキと言えましょう。

 さて、岡本太郎美術館内は電波の状態が悪く、ちょっと電話やメールがつながりにくいかもしれません。この像が頭の上に仮面を載せていない時、スマホで連絡がつかなければ、その辺を探してみてください。多分、美術館のどこかに私はいると思います。