寿福寺

2024年 32cm×25cm 紙、鉛筆、水彩

 春の鎌倉に行ってきました。特に目的もなく、小町通りから踏切を渡り、北鎌倉の方に歩いていると寿福寺が見えました。境内に入ると、平日で人も少なく、鳥の声が近く聞こえます。時々立派なカメラを下げた年配のグループとすれ違いますが、老人たち(もちろん私も含まれます)に対しては警戒心もないらしく、囀りは止みません。

 寿福寺は前にも来たことがあると思うのですが、よく覚えていません。小ぶりの山門が青空に映えて綺麗だったので、正面の大きな石に腰掛けてスケッチしました。この後の予定もなかったので、のんびり描いたら、ちょっと間の抜けた寝起きの顔みたいな絵になりました。

 裏山に広がる墓地の奥には鎌倉独特のやぐらがたくさんあり、その内の二つが北条政子と源実朝の墓でした。歴史上の人物が名もない普通の人たちと並んで葬られているのは、ちょっと不思議な感じです。そして、政子にとっては、頼朝でも頼家でもなく、やはり実朝だったことに感興をそそられました。

 久しぶりの電車一人旅は、時代も往還して遊び、なかなか贅沢でした。寿福寺の後、隣の英勝寺を訪ね、昼は段葛こ寿々で蕎麦を食べてから、由比ヶ浜まで足を伸ばしました。その時の絵はまた次回。