2011-02-01から1ヶ月間の記事一覧

自然釉大壺

2008年 高42cmx胴径35cm 紐作りで積み上げて、無釉で焼き締めた大壺です。浸みないように内側には漆を塗ってあります。 我が家のストーブの横に、もしもの時に備えて、置いてあります。上まで水を張ってしまうと、とても重くて持ち上げられないので、1…

表現と工芸について ②

だいたい「美術=自由」という発想自体、とんだ勘違いでした。あらゆる制約から自由な作品になど、今は何一つ魅力を感じません。もちろんつくることは勝手ですが、それが果たして、見る価値や使う価値を持っているかと言えば疑問でしょう。作品として発表す…

表現と工芸について ①

美術の学校に行って驚いたのは、高校や大学を出たてで、陶芸や木工といった、専門工芸分野に進もうと考える若者が大勢いたことでした。たかだか二十歳前後の人間は皆、自分と同じように自己顕示欲ばかり強くて、「表現」にしか興味がないものと思いこんでい…

ジャコメッティ

2006年 155cmx53cmx60cm(台座含む 像高103cm) 麻布、樹脂、油彩、柿渋、陶、大理石、木 リアルな形を求めて削るうち、彫刻が小指の先程になり、終いには無くなってしまう、ということを繰り返して、ジャコメッティは細長い彫刻に辿り着いたというのが…

ジョージア・オキーフ

2004年 170cmx75cmx45cm(台座含む 像高108cm) 麻布、樹脂、油彩、柿渋、木、革ひも 芸術家と言うと、何となく夭逝というイメージがありますが、実は長生きした人も沢山います。葛飾北斎は90歳、ピカソは91歳、熊谷守一は97歳、平櫛田中は107…

木曽檜座椅子

2010年 檜、革、ウレタン、鋲 テーブルと椅子ではなく、卓袱台と床で生活する知人のために作ってみました。長時間、座布団で作業していると、背中や腰が痛くなってきます。そこで、木曽檜材の形と質感をそのままに、疲れない椅子を考えました。正座椅子…

プロフェッショナルとアマチュアについて

「プロとアマ」を「玄人と素人」と訳してしまうと、プロの方が技術的には一段上にいるように感じられます。しかし、その立場として見ると、professionalには職業専門家(=それで食っている、=それしかできない)という、幾分侮蔑的なニュアンスが含まれて…

テーマ『風貌』について ③

さて、自分を無にして造る人物像は、本当は「人仏像」なのかもしれません。仏教、特に禅宗で高僧の肖像は頂相(ちんぞう)と呼ばれ、唐招提寺の鑑真和尚像や東大寺の重源上人像など多くの名作が造られてきました。徳の高い人物の風貌をリアルな仏像に表すこ…

鳴海織部四方鉢

2007年 高さ6cmx25.5cmx24.5cm 色が綺麗に出た鳴海織部は奔放な艶やかさが魅力です。持ち手がない分、料理を盛った時使いやすいと好評です。

テーマ『風貌』について ②

まだ技術的に拙い時期は、勢いに任せて作った自分の作品の欠点を「個性」などと誤魔化すこともできます。しかし造り続けていく内に、自我なんてものはどんどん薄っぺらくなっていくことに勘づいてしまいます。表現する主体はなくなり、終いには目と手だけが…

テーマ『風貌』について ①

書斎やレコード棚は持ち主を語りますが、作品ともなればそれ以上に作者の素性を暴いてしまうものです。私が誰を造るかということは、すなわち私がどこを目指しているかを表明することに他なりません。 かつて今よりもっと自意識過剰だった頃、「表現の可能性…

鳴海織部四方手鉢

2007年 高さ21.5cmx幅26cmx奥行23.5cm 織部の四方手鉢としては、かなり大きく作ってみました。赤土と白土の収縮率の差や発色に悩まされながら失敗を重ね、ようやくここまで形にできました。ちょっと重いけれど、相当丈夫です。

PLUGGED CLAPTON

2006年 148cmx90cmx50cm(台座含む 像高85cm) 麻布、樹脂、油彩、木 大切な友人がエリック・クラプトン フリークで、一緒にコンサートに通ううち、私もやられてしまいました。アンプラグドの後、久しぶりにエレキの「レイラ」を聴いた時は身震いしまし…

閻魔−ピカソ

2009年 縦165cmx横158cm 麻布、樹脂、漆、胡粉、岩絵具 あさご芸術の森美術館に嫁いだ同タイトルの彫刻を我家の壁に残すため、原寸大で、漆を使って描いてみました。2年かかって、ようやく触れる位に乾き、色も落ち着いてきたところです。

『麻でつくる』彫刻技法について ④

主に私が使っているのは、おそらく乾漆で用いられることのない極粗目の麻布です。麻袋をそのまま利用することもあります。形ができた作品の表面に漆を塗って仕上げるのですが、その際なるべく粗い麻の風合いは残すようにしています。ふつう乾漆像では、でき…

『麻でつくる』彫刻技法について ③

漆の使い方も全く違います。漆は紫外線以外に天敵のない、強靱な塗料(接着剤)ですが、いくつか問題点を持っています。まず非常に高価であること。さらに乾くのにとても時間がかかる上、一旦固まると刃が立たない程堅くなってしまうこと。(もちろん、これ…

『麻でつくる』彫刻技法について ②

さて、構造や素材に共通点はあるものの、脱乾漆造と私のやり方はずいぶん違います。乾漆造ではまず像の原形を、木芯にモデリング(肉付け)した粘土で造ります。その上に貼り重ねた麻布が固まるのを待って、中の粘土を掻き出し、構造材の木組を入れます。 そ…

『麻でつくる』彫刻技法について ①

布を貼り重ねて立体を成形する方法はカルトナージュと呼ばれ、造形の自由さから色々なところで利用されてきました。骨折したときのギプスなんかもそうです。古代エジプトには亜麻布を石膏で固めたミイラの棺がありました。 私の作品は麻布と漆を使う点では、…