笠間日動美術館

 ほぼ20年ぶりに笠間日動美術館を訪ねました。初めて作品が収蔵されたばかりの頃は、時折顔を出していましたが、だんだん展示される機会が減るに従って、私の足も遠のいていました。今回は作品のメインテナンスについて相談するため、しばらくぶりの訪館になりました。偶々、現在開催中の「絵の中のワンダーランド」展に私の二点も出品されているということで案内をいただき、ならばという訳で、照明下の作品の様子を見に出かけました。

 初期の私の作品は、仕上げの塗装に油彩を使っていました。麻との相性も悪くないだろうと思っていましたが、時間が経つと、一旦乾いた表面にベタベタが戻ってきてしまうことがわかりました。やはり日本の高温多湿の気候と西洋技法とでは相容れない部分があるのでしょう。そこで、20年程前から油彩の代わりに漆を使い始め、作品の耐候性については一応の解決を見ました。それまでの作品も少しずつ塗り替えを進め、あとは笠間日動美術館のこの二点を残すのみとなりました。久々に対面してみて、本当ならば造形的にも手を入れたい部分はたくさんあるのですが、まあ、下手には下手の勢いというものもあるので、あまりいじらず、表面のメインテナンスに徹した作業をするつもりです。

 それにしても、笠間では学芸部長のKさんをはじめとして、皆さんに良くしていただき感謝です。今気づきましたが、学芸員もKさん、私の作品が収蔵された時の学芸員もKさんでした。Kasamaで3人のKさんにお世話になっています。美術館のTwitterにも私の訪館の記事を載せてもらいました。ちょうど学芸員実習で来ていた二人とも話ができて良かったてす。

 二つの作品は思ったほど劣化しておらず、少しホッとしています。取り敢えず「絵の中のワンダーランド」展の会期が9月25日(日)までなので、それが終わるまで待って、塗り替えにかかるつもりです。来年の春には綺麗に漆塗りされた姿をお見せできると思います。