TARO賞展搬入・設営

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 先週金曜日から第25回岡本太郎現代芸術賞展の搬入、展示作業が始まりました。ご覧の様な高さ5mを超える白い壁が三面に聳り立つブースを、各出品者は好きな様に使えます。破格の空間容積で、また会期も長いので、出品者の気合の入り方も尋常じゃありません。設営会場はさながらバブル時代の工事現場と化します。

 4年前、21回展に出した時(私の設営場所)は壁のない空間でした。その節はお人好しにも、周囲の作品と共存した方が良いのかな?なんて勘違いしていましたが、とんでもない。それぞれが一世一代の自己主張に励む場で、中途半端な協調主義は通用しません。一昨年の23回展からは、隔絶されたブースでの展示を希望し、自分だけの空間をつくることに専念しました。今回も入口には結界を張るつもりです。

 さて、TARO賞展では、壁や空間を埋め尽くす圧縮陳列が主流となっている感があります。絵でも彫刻でも所狭しと飾り付けて、元の壁が見えたら最期とばかりに、密度を高めたドンキホーテ・スタイルの展示が多いようです。無論、広い空間をもたせるために、私も相当たくさん作品を用意しましたが、しかし、今回は敢えて壁の余白を活かしたいと考えています。

 5m四方のギャラリーに作品設置すること自体はそれ程大変ではありません。ただ、TARO賞展で展示する際に一番厄介なのが、広さではなく、実は5mという高さなのです。この巨大なキューブ空間を、確かなスケール感で料理できるかどうかが、作家の腕の見せ所と言えます。

 という訳で、今年は一体どんな展示空間(インスタレーションという言葉はどうも苦手です。)が出来上がるか、どうぞお楽しみに。公開は2月19日(土)なので、もう少しだけお待ちください。