2011-01-01から1年間の記事一覧

イケコロシについて

川喜田半泥子は作陶についていろいろ面白いことを語っています。「イケコロシ」というのもそのひとつです。轆轤で茶碗を引くときに、最初から最後まで力を入れ続けるのではなく、器の腰を決めるときと、縁を仕上げるときにだけ神経を集中して、他は力を抜い…

ブログ美術館について ②

ブログで作品を公開するにあたって、私が心がけていることがいくつかあります。検閲のない自己責任の場だからこそ、卑怯な真似をしないとか、他人に迷惑をかけないという、「常識」を大事にしていきたい。そして、「ここは商売の場にしない」というのが私の…

個展が終わりました

初個展が美術館で、しかもG.W.を含む1ヶ月間とは幸せな話です。あさごでは今回、美術館の小原さん、山内さんを始め、西垣館長、水田前館長、造形作家の藤本イサムさんと椿野浩二さん等に歓待していただき、とても楽しい時間を過ごすことができました。滞在…

ブログ美術館について ①

今まで決してパソコンに近寄らなかった私が、この春突如ブログなど始めたのは、今回の個展がきっかけでした。作品についての問い合わせにお答えしたり、自分からコメントを発信するのに、ブログは最適でした。ハイテクアレルギーには恐ろしく高い敷居でした…

木彫パズル

1998年 各20cmx29cmx厚2.5cm 桂、シナベニヤ、アクリル彩色 左は世界の動物、右はネコ科の動物パズルです。木彫パズルは今まで10ぐらい作ったと思いますが、殆ど人にあげてしまって、家に残ったのは3つだけです。昔は中学校の美術の授業でこんなこと…

台について ②

作品の一部ですから、私が造った彫刻については、すべて台込みの寸法を表示しています。上半身像の場合、台の役割は大きく、全体のバランスは勿論、素材や色まで考えないと、文字通り作品が台無しになってしまいます。 この台はEric Claptonの頭文字でできて…

台について ①

絵の印象が額縁によって変わるように、彫刻にとって、台は作品としての価値を左右する大切な要素です。おそらく作品台の重要性について、誰よりも自覚的だった彫刻家はブランクーシでしょう。ダチョウの卵のような単純な形が、考えぬかれた台によって、美し…

読書椅子

2007年 背高77cm 杉、欅 ストーブ前のラウンジピット(床を一段下げた空間)に、長時間座っても腰が痛くならない椅子を設えてみました。反ったり、割れが入ったりした端材を利用したので、左右非対称で、ちょっと有機的な形になりました。柱との相性もい…

忠良先生のこと

先月30日に亡くなった佐藤忠良先生の作品が、リニューアルした永福町駅に設置されました。3月23日に予定されていた彫刻の除幕式は、震災直後ということで中止になりましたが、当日、出席されることになっていた先生ご自身が宮城県出身でしたから、それ…

1999年 87cmx113cmx44cm 麻布、樹脂、油彩、木、陶、革ひも 友人と同僚にモデルになってもらいました。互いに面識もない二人の像が、天然材の台に載せたら、まるで夫婦のようにぴったりと収まりました。

漆焼付け水指

2008年 高20cmx口径18.5cm 赤土を手捻りで成形、高温焼成後、生漆を全面に塗って、低温で焼き付けてみました。釉薬とは違った、カブトムシのような渋い艶が出ました。普段は専ら、アイスペールとして使われています。

松本城

2007年 117cmx91cm 麻布、胡粉、墨、柿渋、雲母 木工作家の市川君が松本クラフトフェアに出店したとき、訪ねたついでに城も観てきました。黒漆塗りの天守閣は勿論のこと、石垣の美しさがとても印象的でした。

織部ジョッキ「風神・雷神」

2010年 15cmx17.5cm(口径10.5cm) 織部焼の緑と白が、ちょうど風神と雷神の色だったので、ジョッキの両側に彫ってみました。軽く大瓶1本以上入りますから、調子に乗ると、天罰が下ります。

天狗の腰かけ〜熊谷守一

2008年 145cmx42cmx35cm(台座含む、像高51cm) 麻布、樹脂、漆、柿渋、油彩、木、竹

立体と平面、具象と抽象について ②

レオナルド・ダ・ヴィンチとミケランジェロが、それぞれ絵画と彫刻の優位を主張した芸術論争は有名ですが、制作時の「脳の働き」だけに着目してみれば、私は、ややミケランジェロに分があるように思います。パズルにしても、2次元と3次元では難易度がまる…

長瀞

2007年 130cmx162cm 麻布、墨、柿渋、胡粉、岩絵具 サンフランシスコ在住の教え子一家に、ヨセミテを案内してもらったことがあります。もう20年も経つのに、落差700mの滝や、大きな流れ星がビュンビュン走る夜空など、かなり鮮明に覚えています。氷…

私の修業時代 ④

ようやく自分の作品らしきものができるようになったのは就職して10年以上過ぎてからでした。多分、私は子供の頃から、絵を描くより、立体的な工作の方が好きだったのですが、美大に進もうと思ったとき、何となく勢いで絵画コースに流れ込んでしまいました…

個展が始まりました。

4月8日に無事、展示作業が終わり、いよいよ9日から展覧会が始まりました。早速、関東からも駆けつけていただき、ありがとうございます。 あさご芸術の森と言うだけあって、美術館の周りには野外彫刻の点在する豊かな自然の空間があります。さらに、背後に…

源流

2007年 162cmx130cm 麻布、胡粉、墨、柿渋、岩絵具 多摩川の源流のひとつ、日原(にっぱら)川を遡ると、大きな鍾乳洞があります。真夏でも上着がないと肌寒い、その入り口の横の渓流を描いてみました。この辺りは東京の西の端で、雄大な自然が残ってい…

鼠志野茶碗

2008年 高8cmx口径12.5cm 前に出した鼠志野より白く、一回り小振りの茶碗です。志野にしては薄く、軽く仕上がりました。 これから、作品を積んで、http://www.city.asago.hyogo.jp/asagomuseum/に行ってきます。

私の修業時代 ③

もう一つ変わったのが教員というものに対するイメージです。正直に言うと、私はそれまで先生という人たちがあまり好きではありませんでした。自分が中学生時代に出会った先生達で魅力的と思える人はいませんでしたし、教員というのは、いつも不機嫌で、中途…

私の修行時代 ①

個展の期間中はどうしても過去に縛られることが多くなります。作品の整理や連絡などで忙しい上、いちいち過去の説明を求められるので、その度に新しい作品に向かうことから呼び戻されてしまいます。 自分の作品に愛着がない訳ではないのですが、完成すると執…

私の修業時代 ②

今になってみると、大学を出てすぐに公立中学校の教員になったことはよかったと思います。1985年当時は、まだバブルの最中で、他の選択肢もない訳ではありませんでした。バイトをしながら、版画を売って生活するなんてスタイルが通用した時代でした。 む…

渓雪

2006年 162cmx162cm 麻布、胡粉、墨、柿渋、岩絵具 雪化粧した奥多摩です。川の水だけが翡翠のように蒼く、その他はモノトーンの世界でした。

ピカソ

2009年 70cmx50cmx35cm 麻布、樹脂、漆 日本芸術センター第一回彫刻コンクール・審査員賞 別にトレードマークという訳ではありませんが、すべての作品には、意図的に瞳を入れていません。目が空間を限定してしまうのを避けると共に、生死の境をなくした…

大井戸茶碗

2008年 高10cmx口径15cm 唐津の土を一気に引き上げて作りました。半泥子に倣い、高台と周囲だけ削り、あとは轆轤の回るままにしてあります。灰釉をかけて焼いたら、一部だけ還元がかかり、雨雲のような景色になりました。

檜垣文小壺

2009年 高16cmx胴径14.5cm 信楽の『蹲(うずくまる)』みたいなものが欲しいと思いました。ちょうどいい土がなかったので、テラコッタ用のクズ粘土を無理矢理焼き締めてみたら、緋色やこげも出て、まあまあ巧くいきました。 さすがにテラコッタだけあっ…

イサム ノグチ

2007年 173cmx94cmx63cm(台座含む、像高102cm) 麻布、樹脂、油彩、柿渋、木 第6回あさご芸術の森大賞展・優秀賞 私がピカソに次いでたくさん造っているのがイサム・ノグチとジャコメッティです。彫刻家として凄いと思える人は、皆(ブランクーシなんか…

織部

2008年 54cmx54cm 麻布、樹脂、胡粉、柿渋、墨、弁柄、岩絵具 極めて単純な絵を描きたくて、この形に行きつきました。モチーフは「五輪」です。画面の中央4分の1から、左下、左上、右下、右上とそれぞれ、方形、円、三角、半円、卵形になっています。…

立体と平面、具象と抽象について ①

今回のあさご芸術の森美術館での個展は、私の彫刻作品をまとめて見ていただく機会にしたいと思いました。せっかくの個展なので、あれも出したい、これも出したいという気持ちはありますが、あまりごちゃごちゃして、見る人が疲れるような展示にはしたくあり…