立体と平面、具象と抽象について ①

 今回のあさご芸術の森美術館での個展は、私の彫刻作品をまとめて見ていただく機会にしたいと思いました。せっかくの個展なので、あれも出したい、これも出したいという気持ちはありますが、あまりごちゃごちゃして、見る人が疲れるような展示にはしたくありません。そこで、彫刻を12点に絞り、ゆったりご覧いただけるようにしました。
 広い壁面があるので絵も飾りますが、あくまでも彫刻の背景として、場の雰囲気を壊さないものを選びました。

 ちょっと前になりますが、『日本美術応援団』(赤瀬川原平山下裕二著 ちくま文庫)という本の中で、チブサン古墳の抽象的な壁画について、「死体が主人公のインスタレーション」と評されているのを読んで、なるほどと思いました。それ自体は子供の描いた模様みたいな壁面が、人型の立体が前に置かれることによって、文字通り、生き返る様が目に浮かびました。
 だいたい、具象彫刻と具象絵画が同じ空間にあったら、節操のない公募展みたいになってしまいます。ここはぐっと堪えて、今回は抽象的な絵ばかり出すことにしました。いずれ、また機会があったら、今度は具象画と焼きものを同じ部屋に展示してみたいと思います。