長瀞


2007年 130cmx162cm 麻布、墨、柿渋、胡粉、岩絵具
 サンフランシスコ在住の教え子一家に、ヨセミテを案内してもらったことがあります。もう20年も経つのに、落差700mの滝や、大きな流れ星がビュンビュン走る夜空など、かなり鮮明に覚えています。氷河が創り出した雄大な景色は、アンセル・アダムスの撮ったモノクロ写真そのままで、渓谷全体が何か神聖な空気に包まれていました。
 さて、北アメリカ大陸の凄まじく立体的な風景とは違いますが、長瀞の岩畳も東洋的なスピリットが感じられる場所です。老子の道の如く、水に削られた崖と巨大な一枚岩が対になって、ゆく河の流れを支えているようです。