掌(阿修羅考)③

 先日、修学旅行で2年ぶりに興福寺の阿修羅像と対面してきました。たまたま国宝館に入ったタイミングが良かったらしく、ほとんど人がいない空間でじっくり鑑賞することができました。やはり本物は素晴らしく、向き合っていると胸騒ぎがするほどでした。さて、私の模刻の方ですが、どうせつくるなら、全身像の方がインパクトは強くなります。せっかくなので心棒を入れて、二本足で自立させることにしました。


 実物は、洲浜を表す台座に、踵から突き出た心棒で固定されていると思われますが、この像では下の一枚板の方に突起をつけ、台座から外しても自立するようにしました。人体形状の像を立たせるためには、足首を固めて、やや前に重心を置く必要があります。上半身のバランスを考えながら、脚の角度を決めていきます。

 これで像の大まかな形はできました。あとは、全体の調子を見ながら、仕上げていくだけです。