白釉貫入筒茶碗「一×」


2008年 口径12cm、高9cm
 「老いの友」という銘のついた志野茶碗があります。恐らく志野としては初期に焼かれたもので、太い筆でNIKEのマークみたいな絵付けがされています。面白いので真似をしてみましたが、形や仕上がりは全然違うものになりました。文様も、どちらかと言えば、初めての習字で書いた「一」のようになってしまいました。でも、角ばった筒型と濃い貫入に太い筆跡が加わって、ちょっとした武家好み風茶碗ができました。

 裏にはそのままの勢いで「×」と書きました。「×一」だと寂しい秋風が吹きそうなので、「一×」にしておきます。禅的に「一」は存在、「×」は(人と人との)交わりとでも言っておけばいいかもしれません。

 普段抹茶は点てませんが、時々湯呑として使っているうちに少しずつ枯れた味が出てきたような気もします。