展覧会について ②

 公募展で大勢に混じって一点展示するのと、自分の作品だけをいくつかまとめて展示するのとでは、同じ彫刻でも見え方が全然違ってきます。作者も素材もばらばらの作品が一緒に並ぶと、互いに主張するため、各々饒舌にならざるを得ません。コンペは相対評価ですから、他人を黙らせるくらい声高な方が勝ち、という面も確かにあります。その時、その場の化学反応によっては、結果的にガラクタが会場を牛耳ってしまうこともないとは言えません。尤も、いろいろなコンペに出品してみて私が最近思うのは、大賞を獲るような作品は不用意に敵を作らないということです。周囲全てを味方にできるぐらい許容量を持った作品が求められているのかもしれません。

 さて、それに対して、個展の場合はひとつひとつの作品が大袈裟な旗印を背負う必要もないですから、余計なアドレナリンに邪魔されず、彫刻本来の姿をゆったり観て回ることができます。会場内が作者のひとつの世界観を表したインスタレーションとも言えます。それだけに作品の選択や配置は重要で、あれこれ詰め込みたくなる気持ちをおさえて、すっきりと展示しなければなりません。
 今回の芸術センターでの個展について言えば、あの広さの会場に彫刻7点(9体)は限界だと思います。欲張りすぎると、せっかくの機会を台無しにしてしまいます。さらに、新鮮な印象と観た後の満足感のために、レイアウトを工夫しました。会場外から観た時、気になってつい足を止めてしまうよう、まず3連の「昭和」は正面に持っていくことにしました。そして、会場に入った人が広さを感じるよう、両側の6点の彫刻を奥に行くに従って壁から離して並べました。あさごの時と同様、壁面は単純な抽象絵画で統一し、どこから見ても彫刻に焦点が合うよう配慮しました。一見、何の変哲もないような展示ではありますが、あれはあれで結構知恵を絞っていたのです。あまり報われていないとしたら残念ですが。