テレビ

 先日、「ちょっと、これ知り合いじゃないの?」と家族から呼ばれてテレビを観ると、明石家さんまの番組に「元プロボクサーの彫刻家」として、前原冬樹が出ていました。プロフィールの紹介だけかと思いきや、スタジオに本人が登場し、相変わらずの調子で芸人達と渡り合っていたのが痛快でした。前原のことは以前にも(http://d.hatena.ne.jp/murakami_tsutomu/20120829 http://d.hatena.ne.jp/murakami_tsutomu/20120906)書きましたが、お互いほとんど連絡しないのに、何年か毎に接点があって顔を合わせるという関係が続いています。

 20代の頃は、それでも、多少行き来があったので、プロボクサーになったことまでは知っていました。その後、音沙汰のないまま数年がたち、そろそろ横浜でバーテンでもしているのだろうと思っていました。その間、上越から戻ってきた私も立体作品を造るようになっていましたが、或る日、本屋で何気なく手に取った一冊に、例の彫刻作品の写真と共に、「前原冬樹」という名前を発見したのです。まさかと思い作者の略歴を見ると、東京藝大油画科卒業とあります。別人か?いや、奴に違いない、ということで、その動向が気になっていました。
 2004年2月に新宿の佐藤美術館で「前原冬樹木彫展」があるのを知り、初めて実作品を観ると共に、美術館から連絡してもらって、久しぶりに本人にも会いました。30歳を過ぎてから藝大に入り直し、教育実習までしたこと、こっちも相変わらず教師を続けていること、奇遇にも彫刻をやっていること等話し、後日、エアコンの効かないボロ車で我家に、今度は前原が私の作品を観に来ました。ついでに私の彫刻のモデルになるよう頼んでみましたが、それだけは嫌だと拒絶されたままになっています。
 2008年夏、おぶせミュージアム・中島千波館での個展には、家族旅行がてら出掛けてきました。夏休み中ではありましたが平日だったので、他の観覧者が誰もいない会場で、近づいて奴の超絶技巧を凝視し、また離れてはある意味ノスタルジック、ある意味ストイックな作品空間を楽しみました。
 さて、しばらくぶりにテレビで前原の姿を見ました。この前会ったのは2012年夏の私の個展最終日でしたから、また2年近く間が空いていますが、それ程ご無沙汰という感じはしません。奴にはいつ会っても、変わらないと言えば変わらないし、お互い齢をとったと言えばその通りです。メディアの影響力はさすがに大きく、今回は何人かの人からこのブログにも反応がありました。それによると、5月28日〜6月4日、渋谷のBunkamuraGalleryで前原の個展があるそうです。5月11日にはNHK日曜美術館にも登場するそうなので、暇があったら観てやってください。