展覧会について ①

 私の場合、特定の美術団体に所属していませんから、毎年決まった展覧会に出品できるわけではありません。作品を発表するためには、屋内展示の公募展を目指すことになりますが、ここ数年、立体作品の募集がめっきり少なくなりました。不景気になると、まずは文化から切り捨てる、日本という国の後進性はこういうところに表れます。とにかく、造っても出す展覧会がない、運よく出せたにせよ入賞しなければほとんど注目されない、という現状です。

 昨年、今年とたまたま機会に恵まれて、あさご芸術の森美術館と東京芸術センターで個展を開くことができました。ある程度広い会場で、それぞれ1か月間と3週間という長い会期でやれたことは幸運でした。自分で場所を借りるとなると条件的に厳しく、結局内輪の同窓会で終わってしまいかねません。今回1400人以上の方々に観ていただくことができたのは(知り合いは多いとは言え、せいぜい1/3だと思います。)、やはり企画展だからこそでしょう。
 展覧会というのはどうしてもタイムラグがあって、制作中の最新作はまだ出せませんから、自分がだいぶ前にやったことに対して、今になって遅れて反応が返ってきます。最初は違和感があり、会場で何か尋ねられても言い訳しているような気持ちで答えていましたが、だんだん慣れるにつれ肯定的に考えられるようになりました。当然のことながら、制作はコミュニケーションをその目論見として含んでいます。作品を挟んで、そこから真剣に何かを汲み取ろうとする人と話すことは、私にとって貴重な経験になりました。
 さて、ちょっと恥ずかしいのですが、今回の個展会場でのインタビューが東京芸術センター Art Center of TokyoのHPで公開されています。TOPICS新着情報の『動画公開!インタビューVTR』というところから入れます。画素数の問題なのか、まるでモザイク処理された画面みたいですが、それで充分でしょう。何も高画質で見せるほどの顔でもないですから。