イッタラのグラス

2023年 25cm×32cm 紙、鉛筆、水彩

 丈夫で使い勝手が良いので、我が家でヘビーローテーションになっている、フィンランド製のタンブラーです。いくつか壊れ、補充しながら、ずっと使い続けています。いつもの様に夕飯前に用意したら、何だかちょっと気配みたいなものを感じたので、取り敢えず描いておきました。

 写真を撮れば、もちろんこうはなりません。グラスの縁の見え方が手前から奥にいくに従って扁平になる筈なので、右から順に楕円形が潰れていくのが道理です。でも、私は別に一点透視の正確なデッサンをするつもりなんてありません。疲れてくれば姿勢は悪くなるし、目の位置も変わります。形が狂って何が悪い?と最初から開き直って手遊び、即興に徹していますから、これで充分です。そもそも静物画を描いている意識すら私にはないのです。ただ夕飯の準備でコップを出したら、ちょっと並び方が面白かったのでスケッチしただけなんですから。そうか。してみると、これは家族の肖像とも言える訳か。やっぱり少しぐらい歪でも全然問題ありませんね。