日本芸術センター第8回彫刻コンクール

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 今、神戸の日本芸術会館で日本芸術センター主催、第8回彫刻コンクールの入選作品展が開催されているはずです。何せこんな状況で、私も作品を送ったきり現地に顔を出せていないので、実際どうなっているのかよくわかりません。一応5月中が会期の予定でしたが、この緊急事態宣言が解除されない限り、「どうぞご覧ください。」なんて軽々にご案内もできません。取り敢えず、現在(公開されているのかわかりませんが)写真の作品が神戸ポートアイランドの日本芸術会館で展示されていることだけは確かな様です。以下、展覧会のカタログに寄せたコメントです。

 私は目の粗い麻布を樹脂で成形し、削った後、漆で彩色して、色々な人物像をつくっています。この「マタイ」のシリーズでは、珈琲袋にプリントされた柄が面白かったので、そのままワンピースに仕立ててみました。

 さて、ピカソは、セザンヌの絵で有名な「サント・ヴィクトワール山」を、横たわった女性として描いたそうです。この彫刻を仕上げながら、私も「成る程、これは山だ。」と実感しました。前回の「マタイ」とほぼ同時期につくり始めた「」でしたが、ちょっと手間取って、完成が遅れました。ようやく形になった時、私には等身像が、彫刻というより、枯山水の石の様に見えました。

 タイトルは「ブラジル(珈琲豆)の麻袋」ですが、聖書のマタイと深読みしてくれる人もいることは承知の上です。突然キリストから使徒として指名されたマタイの様に、前回の彫刻コンクールでは、思いがけず金賞をいただきました。同じモデル、同じ麻袋を使った今回の作品も、それにあやかり、同タイトルのPartⅡとして出品しようと思います。