くすのき

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2021年 22.5cmx16cm 紙、鉛筆、水彩

 元「くすの樹」のスターバックスで、朝カフェついでにスケッチしました。同じ樟を、前回は近くから幹中心の構図で描いたので、今度は少し離れて樹形全体を入れることにしました。下に停まっている車と比べると、スケール感が掴めるでしょうか。太宰府の大楠程ではありませんが、東京の街中にあるものとしては、なかなか立派な樹だと思います。

 ところで、私は漆の溶剤として片脳油(へんのうゆ)を使っています。何だかおどろおどろしい名前ですが、要するに樟から精製した樟脳を蒸留したものです。松から精製したテレピンオイルに比べて、乾燥は少し遅いのですが、ずっと香りが良く、その分値段も張ります。でも多少高くても、作業場に揮発性のキツい匂いが漂うより余程マシです。樟はもちろん家具や木工の良材でもありますが、椅子など毎日使いながら味わえる芳香が、私にとって何にも変えがたい魅力です。そんなこんなで、街に良い樟があると、つい見惚れてしまうのです。