特大井戸茶碗


2015年 高10.2cmx径16.3cm
 今週から来週にかけても宴会は続きます。しばらく忙しく制作どころではない日々ですが、撤収前に作った焼き物がいくつかあるので、当座しのぎに掲載します。

 この茶碗、目指したのは大井戸の名品「筒井筒(つついづつ)」です。戦国武将筒井順慶から秀吉に献上された茶碗は豪快な作振りで、場を圧するような存在感があります。秀吉の近習が誤って落とし五つに割ってしまったのを、その場にいた細川幽斎が機転を利かせて「つつ井筒五つにかけし井戸茶碗とがをば我に負ひにけらしな」と狂歌で取り繕ったお蔭で、小姓は打ち首にならずに済んだという言い伝えがあります。漆で継がれた茶碗はいかにもあっけらかんとして見えます。
 轆轤成形の時、深呼吸してから、どれだけ伸びやかな茶碗ができるか試してみました。多少口縁が歪んでいたり、高台の兜巾(ときん)は中心からずれていたりと難はありますが、寸法だけはかなり大きな「筒井筒」をさらに上回るものになりました。