唐津ぐい呑三様


2014年 左・高さ5.5cmx口径7.8cm、中・5cmx7.3cm、右・4.8cmx6.5cm
 思い立って、またしばらくぶりに轆轤を回し始めました。プロの陶芸家が毎日土を捏ねるのは当然としても、生半可な指導者に限って日々精進しろとうるさかったりします。曰く、「一日轆轤を回さないと、それだけ下手になる。」修業中の奴は脇目を振るな、という訳です。

 でも、2〜3年乗らなくたって、自転車を運転できなくなる大人はいません。確かに作業の段取りや要領こそ毎日続けることで良くなるかもしれませんが、技量そのものの進歩は或るところで頭打ちだったりします。一つのことだけを禁欲的にやれば必ず道は開けるってもんじゃないでしょう。却っていろいろな興味に目を移しながらサボっているうちに、知らず知らず腕が上がっていることだってあるのです。専門家には「舐めるな!」と怒鳴られそうですが、実際そうなのだから仕方ないですよね。生意気を言えば、人の成長や技術の発展は、いくら焦ってみても、螺旋階段状にしか進まないものです。

 ただ、始めると、また一通りはやってみたくなるのが、私の性分のようです。今回は、唐津と萩の土を使って、井戸茶碗をつくることに始まり、古唐津や奥高麗の図版を眺めているうちにそれも試したくなり…、そして茶碗の合間にはこんなぐい呑がいくつかできました。
 さて、そろそろ黄色い土が底をついてきたので、次は美濃の土で織部や志野、時間があれば楽茶碗もやってみて、さらに信楽備前の焼き締めまでいけたら、一先ず今回の「桃山陶ローラー作戦」は終了かな、なんて勝手に思っています。