空間と作品 ③


 彫刻を展示する時、スペースの広さにも増して天井の高さは重要です。頭の上に充分な空間があると、隣の作品との距離が少々近くても、それ程気になりません。我家は1階に置いたペレットストーブで家全体を暖めるため、1・2階の間に断熱材を挟んでいません。2階の床板がそのまま1階の天井を兼ねているので、その高さは約3.5mあります。棚の上に1m以上の彫刻を置いてもまだこれだけ余裕がありますから、彫刻や人間の密度の割に、窮屈な感じはしません。

 ストーブの上は熱効率を考えて吹き抜けにしています。2面の壁にはそれぞれ2畳弱の大きな絵がかかっていますが、床より一段低いラウンジ・ピットから最高点まで6m近くあるので、それ程圧迫感はありません。屋根の北斜面に天窓を設けて、自然光を補うようにしました。2階の梁を支える柱は、3歳から現在までの娘の成長の記録です。高さ3.5mなので、今の倍くらい身長が伸びても大丈夫です。

 若い頃、その選択肢を思いつかなかったのがちょっと残念ですが、建築家を目指していたら、それはそれで楽しく仕事ができたかもしれません。自分のアイデアを図面に起こしてもらい、時々手も出しながら、この家ができ上がっていくのを観ているのは、わくわくする経験でした。