茂林寺山門

2023年 22.5cm×16cm 紙、鉛筆、水彩

 群馬県館林市に分福茶釜の寺があると聞いたので訪ねてみました。総門から山門まで参道の両側には大きな狸の焼き物がずらりと並んでおり、その内の一つの台座にスケッチブックを広げて描きました。この山門をくぐると境内は鬱蒼とした木々に覆われていて、大きな本堂が葉で隠れて見えない程でした。一本ずつの樹が大切にされているのがわかります。樹齢590年のラカンマキを始め、藤や枝垂桜など皆立派でしたが、中でも山門の左奥に見えるサワラは高さが30メートルくらいあって大迫力でした。

 茂林寺周辺はいくつかの湖沼を含む湿地帯になっており、市をあげて環境保護に努めています。木道を歩いてみると、都会ではめっきり少なくなったトンボが沢山飛んでいました。今や日本中の街の景色は何処も皆同じですが、こうして一まとまりの自然を残していこうとする試みは大事です。初めて来ましたが、館林はいかにも酸素濃度が高そうな良い処だと感じました。

 せっかく遠出をしたので、この後、茂林寺から車で15分くらいのところにある群馬県立館林美術館に行ってみました。県立というのでちょっと舐めていましたが、これが予想外に立派な美術館で驚きました。「夢と自然の探究者たち」という企画展も見応えがありましたし、何より建物の見事さが際立っています。沼のほとりの地形を活かした広大な敷地に石造の建築が遺跡の様に馴染んでいました。誰もいない広い庭園を見慣れない灰色の物体がゆっくり動いています。あれも作品かな?と思って美術館の人に聞くと、自動芝刈り機とのことでした。ラピュタの庭を世話するロボット兵みたいで、ちょっと不思議な気持ちになりました。