国宝・正福寺地蔵堂

2022年 16cm×22.5cm 紙、鉛筆、水彩

 東京都唯一の国宝・木造建造物です。47都道府県で保有する国宝数の一番多い東京都ですが、建築物となると2009年に登録された迎賓館赤坂離宮とここしかありません。昨年、この寺が東村山にあることを知り、一度スケッチに来ました。現役の寺だけあって、墓参する人はちらほらいましたが、観光客など誰もおらず、国宝建造物という感じは全くしませんでした。

 ところが今回、真夏の境内で、法被を着たボランティアガイドが参拝客を案内しています。混み合うと言う程ではないにせよ、暑い中、人の数が増えているのです。どうしたのかな?と思ったら、千体地蔵堂が開扉されていました。この日、8月8日は何と年3回しかない一般公開日に当たっていたのです。堂内に入ると、本尊の地蔵仏周囲の棚に庶民から納められた小地蔵がびっしりと並んでいます。目を上げれば、禅宗様建築の木組がしっかり残っていて見応えがあります。

 また前回と同じ山門の下で、日を避けながらのスケッチになりました。でも、やはり、扉や火灯窓が開けられていると、お堂の印象が全然ちがいます。この日は600年前に建てられた地蔵堂自体が生き返って呼吸をしている様に感じました。