二月堂

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2019年 27cmx33cm 紙、鉛筆、水彩

 関西旅行2日目です。いつもの習慣で5時半に目が覚めてしまったので、歩いて東大寺の方に向かいました。手向山八幡宮の横を抜け、校倉の経蔵を二つ過ぎると、三月堂、次いで二月堂です。朝の境内は、毎日のルーティンを果たす地元の人ばかりで、まだ観光客はいません。のんびりした関西弁が行き交う中、半月前までお水取りの松明が駆け巡っていたであろう舞台に上ると、大仏殿の鴟尾越しに、朝靄の奈良市街が見渡せました。

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 どこで絵を描くか悩みましたが、結局、二月堂全体が臨めて腰掛け易い場所となると、やはり四月堂の基壇になりました。ここからは前にも、正面の三月堂をスケッチしたことがありました。

 民間信仰を表す石柱や灯籠がごちゃごちゃ立ち並ぶ奥に、早朝の二月堂はひっそりと、しかし厳かに控えているようでした。テレビでしか観たことはありませんが、木造の建築物で、あれだけ派手に火の粉を撒き散らして大丈夫なのか?といつも心配になりますが、やはりと言うべきか、かつてお水取り中の失火で建物が全焼したこともあった様です。そのため、現在の二月堂は江戸時代中頃の再建だそうです。納得しました。