胸像について①


 広いスペースに自分の作品を並べてみて、まず思ったことは、やはり胸像より全身像の方が印象が強いということです。像を自立させるのはなかなか大変で、胸像に脚を付ければ良いというものではありません。最初から全身の構造を考えて、地面に近い部分から始める必要があります。もしかすると全身像をひとつ造るのは、胸像3つ分位の労力かもしれません。その割に報われない気がしていたのですが、実際に展示してみると、全身像のインパクトは手間だけのことはあると感じました。
 逆に胸像のいいところは、同じサイズをいくつか組み合わせて大きな作品にできることです。この彫刻は3体が木のスタンドで結びつけられています。コンクールのように一作で主張しなくてはならないようなときは、これもひとつの戦略です。友人達をモデルにしたこの作品は、ある意味、私の彫刻の原点かもしれません。