世界連邦ポスターのための参考作品

2023年 38cm×54cm 紙、ポスターカラー

 中学2年生の最初の課題はポスター制作です。学校には様々な役所や団体からポスターの募集が来ますが、あまり政治的、商業的なものはNGです。その点、世界連邦運動はアインシュタインやバートランド・ラッセル等、設立メンバーがバラエティーに富んでいて豪華ですし、宗教、政治など特定のサイドに偏ってもいないので、学校で取り組むには良いかなと私は思っています。

 毎年、生徒と一緒に私も参考作品を描く様にしています。あまり具体的な例を見せて生徒のイメージを縛りたくはないのですが、同じ用具や紙を試すことで、生徒たちの表現上の苦労や時間配分を共有できますし、お互いの刺激にもなります。今年度はちょうど「學校」をつくっていた時期と重なっていたので、そのままモチーフにしてみました。但しメッセージとしては、これからの世界の悲観的な可能性の方を暗示しています。「學校」や教育が機能不全になって歴史が逆回転したら、再び破滅の可能性を孕んでいることを原爆ドームで表しています。原作の「バベルの塔」で画面左下に描かれているニムロデ王の御一行は、取り敢えず各国首脳に替えておきました。私自身は別に終末論者ではありませんし、ネガティブな表現を好みませんが、こういう平和や環境保護喚起のアイデアとなると、なぜか「皮肉な視点からの警告」的な方向に偏りがちです。教員が描いたところで(どこにも応募できないし)、どうせ無駄という諦念のせいでしょうか。暗い内容のポスターの参考作品ばかり、気がつくと十数枚溜まってしまいました。