柴又帝釈天・二天門

2023年 16cm×22.5cm 紙、鉛筆、水彩

 23区の北東側をドライブした序でに、柴又の帝釈天まで足を伸ばしてみることにしました。コロナを挟んでしばらくぶりでしたが、相変わらず下町の良い雰囲気が残っていて安心しました。もう50年も前の小学生の頃、暇を持て余しては近所の公民館で観た「男はつらいよ」シリーズの残像が、まだ境内や参道のあちこちに漂っている様でした。

 ここの拝殿(?)に続く本堂が、今はガラスケースで覆われて、彫刻ギャラリーとして有料公開されています。建物を取り巻く欅のレリーフを風雨から守るためですが、超絶技巧の木彫を近くからじっくり観ることができて、これはこれで良いと思います。最近色々な若手の木彫家が動物など彫ってちょっと注目されたりもしていますが、職人としての腕だけ見れば、ここ帝釈天のものには遠く及ばないと言うべきでしょう。それ程100年前の名人たちの仕事には鬼気迫るものがあります。やり過ぎを遥かに超越した、これでもか!の深彫り壁画を堪能し、さらに客殿と庭園まで巡って、拝観料400円は決して高くないと思います。

 さて、人の往来の激しい参道の真ん中でスケッチブックを広げる訳にもいきません。見た目はどうせ同じだろうと思って境内から参道に向かって門を描いたのですが、後でよく見たら違いました。内側の屋根は曲面の唐破風だけで飾られていますが、外側つまり表から見た屋根には唐破風の上にもう一つ千鳥破風が乗っかり、勢いのある複雑な構造になっていました。この二天門も日光東照宮の陽明門をモデルにしたというだけあって、周囲全てを木彫で飾られていますが、なぜかそんなに悪趣味とは感じません。極彩色に塗られていないからでしょうか。