塗り直し


色が褪せてきた様な気がするので、見て欲しいと、「天狗の腰かけ〜熊谷守一http://d.hatena.ne.jp/murakami_tsutomu/20110416が持ち込まれてきました。初期の作品には漆でなく、油絵具で彩色していました。この像をつくった頃から少しずつ漆を使い始めたのですが、まだ熊谷守一の顔は油彩、帽子は柿渋と色々な塗料を試しています。でも結局、耐候性、麻との相性等、あらゆる点で漆が最適とわかってからはあらゆる像を漆だけで仕上げるようにしました。

さて、戻ってきたものを見ると、退色したという程でもありませんでしたが、この機にせっかくなので、全て漆で塗り替えることにしました。植物性の油と混じると漆がいつまでも乾かないので、顔や手は表面を削り、油分を落としてから塗り直しました。着物の藍色は透漆(すきうるし)に青の顔料、弁柄、砂鉄や炭粉を混ぜています。
そう言えば、近代美術館で今やっている熊谷守一展のチケットを買ったまま、まだ行ってませんでした。できれば年内に観たいのですが、恒例のスキーツアーなどもあるので、ちょっと難しいかもしれません。