新薬師寺本堂


2017年 24cmx33cm 紙、鉛筆、水彩
半年ぶりに浄瑠璃寺岩船寺を訪れたついでに、新薬師寺まで足を延ばしました。春日大社や巨大寺院がひしめく奈良の中心近くにありながら、さすがに暑い中を歩こうという人は少なかったと見え、ここだけはひっそりしていました。南面した本堂の木扉が、中の仏像保護のため、閉められていたので、夏の終わりの境内は地方都市のシャッター商店街の様に静まり返った印象でした。とは言え、円形の土壇に安置された国宝の本尊や十二神将像は素晴らしく、人のいない堂内で何周も廻って観ました。本尊の薬師如来坐像は写真で見るとバタ臭い印象でしたが、実物はずっと垢抜けたインド映画のスターのようなオーラを放っていました。
この寺の受付の人たちはとても親切で、南門の日陰でスケッチするのを温かく見守ってくれた上、本堂の瓦屋根について色々と教えてくれました。何年か前に描いた東大寺三月堂などもそうですが、天平時代の瓦は、独特の暖色が美しく、何とも言えぬ味わいがあります。