東大寺南大門

2022年 16cm×22.5cm 紙、鉛筆、水彩

 教員として最後の修学旅行引率、その第一日目は奈良でした。新型コロナウィルスの影響で、宿泊行事そのものが3年ぶりの実施となった今回、耄碌したのか、はたまた長いブランクですっかり感覚を失くしてしまったのかわかりませんが、最初は自分自身どうもペースが掴めず疲れました。だいたい天気も良過ぎたのです。かんかん照りの奈良公園は気温30℃を超え、散策と言うには余りにも過酷でした。ただ、それでも生徒たちは元気で、宿での夕食後、ライトアップされた二月堂にも大勢参拝し、この時期ならではの蛍狩りまで堪能したのでした。

 この絵は大仏殿側から描いたものです。東大寺ミュージアム前に丁度良い腰掛けがあったので、休息がてら、ざっとスケッチしました。南大門も正面側は陽に晒されて、すっかり色褪せていますが、こちらから観ると軒裏の梁や組木の丹塗りも残っていて、大分印象が違います。今回で通算13度目の生徒引率となりましたが、奈良は訪れる度にこうして新しい発見もあり、飽きるということがありません。「何だか疲れるなあ。」と始まった修学旅行でしたが、いつの間にやら生徒たちのペースに乗せられて、私の気持ちも前向きになっていました。終わってみれば、とても充実した二泊三日だったと思います。この間に私が歩いた総距離は33kmでした。