室内Ⅲ

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2020年 41cmx32cm  紙、鉛筆、水彩

 性懲りも無くまた同じ室内で、今度は西を向いて描きました。外でスケッチしていると白い目で見られかねない現状なので、ついつい行動が内向きになってしまいます。ただ、世間で評判の悪かった自粛期間でしたが、この機会に家の中を色々直したり、健康にも少しは目を向けられたので、私にとっては、良い休息になりました。

 それにしても、家も身体も順調に(歳相応に)ポンコツになってきました。これを描いている最中は2日間鼻血が止まらず、出来上がった絵も貧血気味のぼんやりしたものになってしまいました。大出血が頻繁になってきたので、翌日仕方なく医者に行くと、鼻の中の動脈が切れていて、即レーザー手術となりました。血痕で汚れてしまったので、この絵は所々絵具が厚塗りになっています。

 さて、室内の電子ピアノとパソコンの間のスペースには、5体の半身像が肩を寄せ合っています。前回のTARO賞展に出した奥の3つが、先客としてここにありました。そこに今回の展示から戻ってきた2つが加わって、現時点の東京では許されない、この密集空間が出来上がりました。

 それにしても最近 実に失礼な話だと思うのは、真言密教において最も重要な修法を表す「三密」という言葉を、よりによって新型コロナウィルスを広める三悪の表現として、メディアが垂れ流していることです。恐ろしく厚顔無恥な政治家か役人が言い始めたのでしょうけど、余りにも他者の価値観への配慮が無さ過ぎです。宗教によっては、この侮辱に対して、死刑宣告が下されてもおかしくありません。罰当たりな衆生に対して、空海は何も言いませんが、きっと高野山の奥で呆れかえっているはずです。都知事選当日が大荒れの天気になったら、それは弘法大師の悪戯かもしれません。