犬吠埼

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2019年 33cmx27cm 紙、鉛筆、水彩

 友人を成田空港に送ったついでに、そのまま車を走らせて太平洋まで突き抜けてみました。銚子は、多分 子供の頃 夏休みに連れてこられて以来だと思います。この辺りのホテルに泊まったのかな?等と考えながら、犬吠埼に来てみましたが、夏の終わり、しかも雨天で辺りは閑散としていて、何も思い出せませんでした。

 ノスタルジックな灯台があったので中に入ってみました。狭い螺旋階段を一段一段登りながら、何となくここには来た憶えがありました。灯台の上から眺めると、すぐ下の海岸線が、昔の洗濯板を重ねた様な複雑な形状で、ちょっと興味をそそられました。地上に降りて、その場に立ってみると、何でも白亜紀の地層が剥き出しで見られる貴重な海岸だそうです。小雨は降り続いていましたが、描くことにしました。

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 やり始めてはみたものの、すぐにスケッチブックの表面に水が浮いてきたので、試しに小声で「晴れろ!」と念じてみると、本当に雨が止んで雲が切れ、日が射してきました。一日中降り続くという予報だったので、たった数分間でしたがこの奇跡的な晴れ間は有難く、一気に描いて引き上げました。スケッチブックを閉じた途端にまた雨が落ちてきましたが、この天候の中 一枚仕上げることができた達成感で、気持ちだけは晴れ晴れしていました。