倉沢の大檜

2023年 41cm×32cm 紙、鉛筆、水彩

 奥多摩から日原川沿いを上った尾根に千年檜と呼ばれる大木があると人伝に聞きました。これは行ってみなくては、と早速出掛けました。最寄りの駐車スペースに車を停め、舗装路から細い山道に入って15分位登ったでしょうか。今年はあちこちで熊が出ている様なので、わざと音を立て、息を切らしながら、ようやく根元の石垣に辿り着きました。

 案内板にある通り、主幹がすぐに枝分れしてしまうので、法隆寺の建材にはなりそうもありません。でも、その根回りの太さと樹勢は見事です。何よりこの場所に平安時代から立ち続けてきたということに驚かされます。腰掛が2つありましたが、幹に近過ぎて首が痛くなりそうだったので、石垣下の大岩に陣取って描くことにしました。人にも野生動物にも出会わず(尤も向こうは何処からか見ていたのかもしれません)、鳥の声だけが聞こえる中で1時間ちょっと過ごしました。時々スズメバチが飛んでいるのはわかっていましたが、首の後ろに近づいたのを思わず手で払ってしまって後悔しました。仲間を呼んで攻撃モードに入りそうだったので、慌てて荷物をまとめ退散しました。気配を消しながら何とか無事に戻ってきました。

 さて、下界では早くもクリスマス商戦が始まりました。そこで私もちょっと先走って報告です。来春(2024年2月17日〜4月14日)またTARO賞展に出品することになりました。散々前回で最後とか言っていたくせに、結局これです。何年かに一度、デカい会場で作品発表するという誘惑には逆らえません。