高橋是清邸

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2019年 27cmx33cm 紙、鉛筆、水彩

 二・二六事件の舞台となった高橋是清邸が、小金井公園内の江戸東京たてもの園に移築されています。当時大蔵大臣で、陸軍予算削減を目論んでいたため、テロのターゲットにされてしまった高橋是清ですが、若い頃から随分と波乱万丈の人生を送っていた様です。せっかく渡米したのに奴隷として売り飛ばされてしまったり、破産して日本でホームレスまで身をやつしたこともあったそうです。ただ、そんな色々な経験が、清濁合わせ飲む政治家、実務家としての胆力を鍛えたのかもしれません。明治から昭和にかけて、幾度となく国の難しい舵取りを担いました。しかし、1936年、赤坂にあったこの屋敷の二階(その部屋も見学できます。)で、青年将校に胸を6発撃たれ、軍刀でとどめを刺されて最期を遂げます。

 この絵、実は去年の初秋に描いたので、光が強く、植物も青々としています。でも、日付が刻印された事件でもあるし、やはり2月に出すことにしました。季節外れにも見えますが、豪放磊落な高橋是清には、寒々しい景色より、却ってこの方が相応しいかもしれません。それに、本音を漏らせば、ここ数日の寒さの中、とても外でスケッチする気にはなれません。