谷中天王寺


2017年 22cmx27cm 紙、鉛筆、水彩
 正月の運動不足解消に、家族が谷中七福神巡りをするというので、天王寺に先回りしてスケッチしました。室町時代創建の古刹ですが、建物はすっかり新しくなっていたので、更に境内は初詣の人々の行列でごった返していたので、辛うじて絵になりそうな門を描きました。春のような日差しの中で、門松の長い影が、かつての塔の名残のように寺の方を向いていました。幸田露伴の小説「五重塔」の舞台は、昭和32年に火災で焼け落ちるまでここにあった、天王寺の塔をモデルにしたそうです。この辺りは如何にも、のっそりした頑固な職人と江戸っ子の親方が腕を競った場所として相応しい気がします。少し先の公園内には焼け跡の古い礎石がそのまま残されていました。