阿修羅③


 この像を観たA先生は「阿修羅って本当に腕が細いんだね。」と感想をもらしていました。手足の数と言い、きっと蜘蛛の化身に違いないと二人で意見が一致しました。生徒の一人は「踝もわからないような細い脚でこんな上半身を支えるのは無理だ。」と、まるで彫刻家みたいな口をきいていました。さて、写真で立体を伝えきることはできませんが、せっかくなので両脇面も紹介しておきます。

 阿修羅の左脇面(向かって右側の顔)は金太郎の様な、凛々しい少年の表情です。

 対して、右脇面は後悔を漂わせながら下唇を噛む、ちょっとナイーブな表情になっています。実物の「阿修羅」は、声高にストーリーを語りませんが、見ていると引き込まれて知らぬ間に時間が経っている、ちょっと危険な像です。