木彫時計⑨ニケ 


2013年 直径24cmx厚さ1.4cm 桂材、蜜蝋
 例によって数字は透かし彫りで表し、文字盤の中央に「サモトラケのニケ」を彫ってみました。ルーブルで実物を見たことはありませんが、「ニケ」は私が最も好きな彫刻のひとつです。私が通っていた頃、日大芸術学部の図書館ロビーに実寸の石膏レプリカがありました。もう20年近く前になりますが、卒業後久しぶりに母校を訪ね、その像を見ながら、テープ状に切ったボール紙をホッチキスで繋げて原寸大のニケを造りました。たしか静岡県島田市でやっていた「紙わざ大賞展」というコンクールに出品して、何かしら賞を貰った記憶があります。賞はともかく、その時審査員だった福田繁雄さんと一杯やりながらお話しさせていただいたことが、何よりの思い出です。
 私自身、水軍(海賊)の末裔でもありますし、軍船の舳先に舞い降りた勝利の女神には並々ならぬ関心を持ってしまうのかもしれません。いずれにせよ、スポーツメーカーが社名にし、超高級車がエンブレムにも使う縁起の良い天女の時計は、それにふさわしい人に差し上げようと思います。