佐伯祐三


2000年 96cmx26cmx18cm(台含む、像高40cm) 麻布、樹脂、油彩 【台】木、陶
 前の職場の近くに佐伯公園という小さな庭園がありました。下落合(今の住所は中落合)にあった佐伯祐三のアトリエと住居跡が残されています。佐伯祐三と言えば、まずはパリを描いた凄まじくスピード感ある油絵が思い浮かびます。スケッチを元に家で描くのではなく、キャンバスと油絵具を持ってパリの街角に行き、タブローを一日2枚、多い日は4枚も描き上げたそうです。当時のパリと佐伯の感性が余程しっくり合っていたのでしょう。日本に戻ったときに描いた下落合ののんびりした風景は何だかちょっと間が抜けて見えます。佐伯公園のアトリエを建てたとき、せっかちのあまり入口を作り忘れたというエピソードが語るように、その急流のような生き方こそ佐伯祐三だったのかもしれません。パリ郊外の精神病院で人生を駆け抜けた時まだ30歳という若さでした。