春風萬里荘・秋

2023年 25cm×32cm 紙、鉛筆、水彩

 笠間日動美術館へ「藤田嗣治展」を観に行った帰り、また春風萬里荘に寄ってきました。遅い秋の紅葉に彩られた茅葺き屋根がなぜかとても軽妙に感じられました。いつもより暖かい気候のせいでしょうか。或いは描く側の心持ちの変化もあるかもしれません。今年、立場が専任から非常勤教員に変わったので、随分余裕ができました。映画でも展覧会でも、思い立った時、身軽に動けるのが嬉しいです。

 30年以上前に買い揃えたままになっていたハードカバーの「失われた時を求めて」を、10月から2か月半かけて読了しました。第一巻を少し読み始めたのは40年近く前ですが、「これは無理だ。退職後の楽しみに取っておこう。」と嘯いたきり、ずっと本棚で私のプレッシャーになっていました。今回最初から読み返すと、果たして一気に引き込まれ、近年の私の大冒険のひとつになりました。「私」はまだ半ばコンブレーやパリを漂っているので、とてもまとまった感想などをここで述べる訳にはいきませんけど。