２０２０年 27cmx33cm 紙、鉛筆、水彩
鳥羽の明くる日は伊勢詣でした。内宮の御手洗場の片隅でスケッチブックを広げていると、赤い縁取りのある制服を着た皇宮警察がやって来てしまいました。「広報（公報？）課に許可を取りましたか？」と訊かれたので、「いいえ。」と答えると「では。絵具で大っぴらに描くのは御遠慮ください。」と言われました。「じゃあ、鉛筆でチャチャっと描けば良いんですね？」と訊ねると、何やら言葉を濁す様にして行ってしまったので、再び来ないうちに急いで仕上げたのがこの絵です。宇治橋側にあった岩に座り、左奥に流れていく五十鈴川と対岸を描きました。結局、またしてもゲリラ・スケッチになってしまった様です。
中国ではもう例の騒動が始まっていた時期で、観光客も少なく、そんなに人の邪魔になることはないですし、私に限ってスケッチで周りを汚すことなんてあり得ません。「心の狭い誰かが告げ口しやがったな。」と身勝手に毒を吐きながら、伊勢を後にしました。もちろん、罰当り者は肉を喰らうため松阪に向かったのでした。
