皆勤賞

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2020年 26cmx36cm 木版画(紙、墨)

 今年度は新型コロナウィルスのせいで、最後にこんなことになってしまい、卒業生は可哀想でした。ただ記憶に残る年になったことは間違いありません。さすがに私の35年の教員人生でも初めての経験でした。

 2011年震災の年も私は3年生の担任でしたが、あの時でさえ、東京の学校は長期間休むことなく、卒業式も通常通りに挙行されました。ただ、どうも、保護者から聞いた話によると、今年の卒業生は、2011年当時幼稚園の年長組だったらしく、いくつかの幼稚園や保育園では、卒園式が中止になったそうですから、やはり運を持っている子達なのかもしれません。

 さて、しかし、今回卒業した生徒たちは素晴らしく素直で、しかも健康でした。学年の2割に当たる18人が3年間皆勤というのも、私の記憶にない元気っぷりでした。例の首相の一声で13日短くなったとは言え、一つの中学校で、ほとんどの生徒が、3年間をこれだけ健全に過ごせるというのは、今の日本において、決して当たり前のこととは言えません。

 その元気な学年の中でも最も元気、3年間無遅刻、無欠席、無早退の生徒たちを顕彰するため、木版画で賞状を作ってみました。中心の木は、冬休み中に描いた校庭の欅です。大樹の幹の重厚さを表すのに、どうしても主版だけでは足らず、薄墨版を加えて刷りました。「勤」の字の左下の横棒が一本少ないですが、篆書体の場合、これで合っているので悪しからず。ひとりひとりの氏名を墨書して、シリアルナンバーを入れ、規模縮小で一昨日行われた卒業式の後に、一人ひとり渡すことができました。表彰式でずらっと並んだ皆勤行列はなかなか壮観でした。