草枕

 この夏は「日本語が亡びるとき―英語の世紀の中で」(水村美苗著、ちくま文庫)がきっかけで、夏目漱石三昧です。「三四郎」「それから」「門」「こころ」「草枕」と来て、いま「彼岸過迄」を読んでいます。東京はここのところバカに暑い日が続き、とてもじゃないが、外で絵を描く気になりません。「草枕」の主人公よろしく、画工(えかき)のくせに絵具箱を開けないまま夏休みが過ぎていきます。


 「獨立自学」と刻書されたこの扁額はずっと前から家にありましたが、裏に夏目漱石筆と書かれています。幅60cm位の板切れに誰が彫ったのか知りませんが、字形は何となく漱石らしい気がするので、仕事場に掛けて時々眺めています。