山高神代桜

2023年 25cm×32cm 紙、鉛筆、水彩

 樹齢2000年ともいわれる、日本で一番有名な桜の樹を観に、山梨県北杜市まで行きました。この日は天気も良く、最高のタイミングで満開のサクラを堪能しました。

 神代桜はヤマトタケルが東征の時植えたとも伝わるエドヒガンで、日蓮宗の実相寺境内にあります。昭和34年には台風で主幹が折れてしまい、樹勢は衰えるばかりでしたが、平成の天然記念物再生事業で何とか命を繋ぎ、今年も懸命に花を咲かせています。その姿は、朽ちて固まった胴体から必死にハサミを振り立てる蟹の様で、哀れを誘います。沢山の支柱は無理な延命治療を物語っていますが、それだけこの樹が重要な存在(人物?)であることの証でもあります。

 さて、ここ実相寺は素晴らしい花見スポットでした。味わうべきメインディッシュが神代桜だけじゃないというのがまた凄いところです。岐阜根尾谷の淡墨桜や身延山久遠寺の枝垂の子桜、神代桜の種子を国際宇宙ステーションで育てた宇宙桜なんてのもあり、とにかく見どころ満載でした。この絵の背景に広がる様々な花の共演はまず一見の価値ありです。