東京駅


2016年 18cmx27cm 紙、鉛筆、水彩
 東京駅向かいの新丸ビル7階にはテラス席があって、駅舎を一望できます。さぞスケッチにお誂え向きかと思いきや、そう簡単にはいきません。東京駅は、何年か前に辰野金吾設計のドーム屋根も再現された、煉瓦造りの立派な建築ですが、いかんせん左右に長過ぎるのです。おまけに駅前は地面を掘り返しての工事中で、絵にならない事この上ありません。小さなスケッチブックに苦労してつめこみましたが、何だかおもちゃの城みたいにも見えます。
 ただ、考えてみると、この絵は東京という街を象徴的に表していると言えなくもありません。東京の景観を構成している4つの要素によって、この絵も出来上がっています。すなわち、モダンな高層ビル群と歴史的建造物、そしてゴミみたいな看板と醜い工事現場です。