高野槇


2015年 27cmx22cm 紙、鉛筆、水彩
 先週末、新座の平林寺に行きました。紅葉はまだ先ですが、絵になる景色はたくさんあります。ただ、人通りが多かったり、やぶ蚊だらけだったりで、落ち着いて描ける場所がなかなか見つかりませんでした。もう今日は(スケッチは)無理かなぁと思いながら、境内をぶらぶらしていたら、最後の大茶人と言われた松永耳庵の墓を見つけました。意外に質素だったのが、「電力の鬼」松永安左エ門らしい気もしました。
 結局、山門に戻って、樹齢500年の高野槇(こうやまき)を描き始めた時には、もう閉門45分前でした。高野槇は古来、最高の棺材であり、また風呂材でもありました。檜風呂が有難がられますが、水に対する強さから言っても、最適な素材は槇だそうです。鎌倉の建長寺にも見事な大木があります。しかし、今や地球上で日本と済州島だけにしか残っていないと聞きました。500歳ということは、この地に平林寺が遷ってくる100年以上前から、ここに立っていたことになります。日も暮れてきたので、大急ぎで絵具を塗りたくり、何とか門限の4時半に総門を出ました。