湯島聖堂


2016年 22cmx27cm 紙、鉛筆、水彩
 年明け、暖かい日が続いたので、娘と湯島天神に行きました。信心はなくとも、長い間その土地に根付いた風習や、人々の振舞いには、何かしら大切なものが含まれている気がします。季節毎に、普段しないことを演じて、気持ちを高めていくことも大事です。効能はどうあれ、まあインフルエンザの予防接種のようなものかもしれません。とりあえず受験生気分を味わい、「鳥つね」の親子丼まで食べられたので、娘も私も満足でした。
 帰り道は御茶ノ水の方に回り、湯島聖堂に寄りました。歩き回って、絵になる場所を探した結果、入徳門の外から杏壇門を通して大成殿を臨める、この位置になりました。元々は全ての建物が木造黒漆塗りだったようですが、関東大震災後の再建で、焼失を免れた入徳門以外は、鉄筋コンクリート造になりました。この日、階段を上った、杏壇門の柱は門松で飾られていました。
 聖堂は江戸初期に林羅山の屋敷にあった孔子廟徳川綱吉が移築し、学問所としたのが始まりだそうです。綱吉や羅山に興味はありませんが、と言って孔子を素通りはできません。論語のつまみ食い以外に、下村湖人の「論語物語」やら何やら、いくつか読みました。中でも、白川静の「孔子伝」は白眉だと思います。孔子はキリストよりずっと昔の人なのに、その生身がリアルに感じられる、とても良い本です。