地水


2010年 140cmx140cm 麻布、樹脂、胡粉、墨、柿渋、竹、麻紐
 前にアップした絵画作品「地空」と同シリーズのひとつです。4点合わせるときは、これが左下になります。
 宮本武蔵は『五輪書』水の巻で「観」と「見」、二つの目のことを語っています。(『兵法三十五箇条』にも「目付のこと」という一条があります。)「見の目」というのは、何かに焦点を合わせて見る、いわゆる普通のものの見方です。それに対して、立合で重要なのは「観の目」、つまり場の全体をなるべく目は動かさずに、広く捉えるような見方であると説いています。
 斬り合いをしたことはありませんが、野球のバッターボックスでもこの教えは有効です。「球をよく見ろ。」と言われてボールを凝視するよりも、ピッチャーの動きを大らかに眺めて打ち返す方が、私の経験上、良い結果が出るようです。やはり何事にも、拘泥せず、虚心坦懐に向かうことが大切なのかもしれません。