木彫時計「日蝕(太陽の塔)」

2023年 27.5cm×24cm 桂材、アクリル彩色、時計ムーブメント、針

 今年は出しませんが、またそろそろTARO賞展の季節です。昨年の今頃は搬入や作品設置で大忙しでした。トラックの手配やら、作業の段取りやら、とにかく考えることが多くて大変でしたが、終わってしまえば懐かしいドタバタです。美術館で過ごす時間も長かったので、自然と岡本太郎作品に触れる機会が増えました。そんな訳で、中学3年生と一緒に作り始めた木彫時計も、何となくこの図柄に決まりました。

 考えてみれば、小学校3年生の時に行った大阪万博で太陽の塔をカッコいいなと思い、その金属模型を買ってもらったのが、私の美術への目覚めだったかもしれません。そんな恩も忘れ、若い頃は岡本太郎のことなど頭からすっかり消えていましたが、またこうして関わりができてみると、時間的にも空間的にも素晴らしく広い視野を持って活動していた人だったことが良くわかります。

 太陽の塔は天辺と腹、背中に3つの顔を持っています。お腹の顔で上の金色の太陽が隠れるように彫ってみましたが、飾る時は背中の黒い太陽も壁に描いておけば、全ての顔が重なって、より面白いかもしれません。

 こんな感じです。